【今、聴きたい】ブラックミュージック「10選」Summer 2020

【今、聴きたい】ブラックミュージック「10選」

こんにちは!秘書猫 a.k.a DJ みーです。

今回お届けするのは『今、聴きたいブラックミュージック10選』です。

一口にブラックミュージックといっても、そのスタイルは様々。オールドスクールなブルース・ジャズ・ソウルから最新のネオソウル・ゴスペルまで色々な音を楽しむことができます。

世界各地がコロナ・ウイルスの大きな影響を受けた2020年。アメリカで警察官が起こした黒人男性の殺害事件をきっかけに各地でデモや暴動が起きるなど、いまだ落ち着かない情勢が続いています。

今回はそんな今の時代だからこそ聴いてほしいブラックミュージックを10曲セレクトしました。

往年の名曲、最新の新しいトレンドまで一息で駆け抜ける今回のプレイリスト。曲の解説はすこしディープな内容になっているので、まずは音源だけをさらっと聴いてみてもOKです。

M1:”Shaft” / Isaac Hayes

一曲目はアイザック・ヘイズ(Isaac Hayes)の代表曲として知られる、1971年公開の映画『シャフト(Shaft)』のテーマ曲。この映画はいわゆる”ブラック・パワー・ムービー”と呼ばれる、黒人の黒人らしさを肯定的に捉える映画スタイルの代表作で、主演のリチャード・ラウンドトゥリー(Richard Roundtree)が扮する黒人刑事が、荒れた社会の中で起こる事件を解決していくアクション作品です。音楽の良さもさることながら、当時の黒人街の雰囲気やアメリカの黒人文化を残した名作なので、ぜひチェックしてみてください。(2000年にリメイクされたサミュエル・L・ジャクソン版も最高)

M2:”Unity” / James Brown & Afrika Bambaataa

1960年代に黒人社会の団結を訴えたファンクの生みの親・ジェームズ・ブラウン(James Brown)と、1970年代にニューヨーク・ゲットーのギャングを融和に導いたヒップホップの名付け親・アフリカ・バンバータ(Afrika Bambaataa)の共作。1984年発表。曲中で何度も繰り返される、”Peace, Unity, Love , Having fun(平和、団結、愛、楽しみ)”はバンバータの主催した黒人コミュニティが掲げたスローガン。ともに音楽ジャンルを創り、人々をひとつにまとめてきた英雄的な2人の、時代を越えたコラボレーション曲です。

M3:”Sexual Healing” / Hot 8 Brass Band

ブラックミュージックの源流のひとつといえば、アメリカ南部・”ジャズの街”・ニューオリンズ。ホット・エイト・ブラスバンド(Hot 8 Brass Band)はニューオリンズのブラスバンド。低音パートを巨大な管楽器・スーザフォンが担当する昔ながらのマーチング・スタイルでマーヴィン・ゲイ(Marvin Gaye)の名曲「Sexual Healing」をカバーしています。

M4:”Livng for the City” / Stevie Wonder

「汚れた街」の邦題でも知られるこの曲は、1973年に発表された御大・スティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)の名曲。アメリカ南部生まれの黒人青年が、黒人が大都会ニューヨークもといアメリカ社会で生きていくことの難しさ、その現実の苦痛と怒りを込めて現状を語るという内容の歌詞で、比較的ピースフルな歌詞の多いスティーヴィーの作品の中でも、明確なメッセージのある曲として知られます。作中で繰り返される”Living just enough for the city(この街では生きていくので精一杯)”というフレーズ、1973年の言葉が今でも通用してしまうのが悲しいですね。

M5:”If Only” / Raveena

ニューヨークはクイーンズ発、2017年頃から活躍するインド系アメリカ人・ラヴィーナ(Raveena)のデビューEP『Shanti』の一曲目。メロウでリッチなサウンドと甘い歌声が魅力的。インドからの移民である両親の元に生まれたラヴィーナ。クイーンズは数多くの移民の居住区として世界的に見ても多様な人種が住むエリアで、人種・文化の坩堝といわれます。彼女はインドにルーツを持ちながらも、自分の育ったニューヨークの音楽を取り入れたスタイルを持つシンガーとして活躍しており、ブラックミュージックの多様さを感じさせます。

M6:”Come Down(Gospel Ver)” / Anderson .Paak

今をときめくスーパー・ドラマー、アンダーソン・パーク(Anderson .Paak)の代表曲。グラミー・スペシャル・バージョンとして、ゴスペル・テイストに仕上げた映像で、彼のルーツを強く反映した映像になっています。韓国系アメリカ人の母を持つ(”Paak”は母の旧姓である”パク”から取っている)アンダーソン・パークの活躍は、”黒人”や”ブラックミュージック”という言葉の中に色々なルーツや民族性があることを思い出させてくれます。

M7:”Love Theory” / Kirk Franklin

現在、アメリカでのひとつのトレンドとなっているのが、昔から黒人教会で歌われてきたゴスペル・スタイル。映画『天使にラブソングを』で聴いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。アメリカ・ゴスペル界を代表する存在であるカーク・フランクリン(Kirk Franklin)は、ヒップホップのテイストをゴスペルと融合させ、幅広い世代から人気がある歌手。奴隷制のあった過酷な時代、人々の心をまとめたのがゴスペル。現代の情勢を受けて、ゴスペルがどんな役割を担っていくのか、ぜひ注目していきたいです。

M8:”People Get Ready” / The Impressions

1965年発表、後にソロでも活躍したカーティス・メイフィールド(Curtis Mayfield)の作詞・作曲で知られる曲。直訳すれば”人々は(電車に乗る)準備ができている”というタイトルで、キリスト教の元では誰でも同じ電車に乗って自由の地(Jordan)へ行けるというゴスペル的な内容を歌った曲です。1965年という激動の時代にあって、暖かな希望を感じさせる曲調と、人々に語りかけるような穏やかな歌声は特別な意味を持って響いたことでしょう。

M9:I Wish I Knew (How It Would Feel To Be Free) / Nina Simone

“もし、自由を感じるとしたら、それってどんな気持ちなんだろう?”という素朴な疑問を歌ったこの曲。1963年、ビリー・テイラー(Billy Taylor)とディック・ダラス(Dick Dallas)の作曲で、1967年にニーナ・シモーン(Nina Simone)が歌ったバージョンで広く知られます。よくよく考えると、その疑問自体が”自由を知らない”という悲しい現実を思い出させるものですが、そういった過酷な状況の中でも、自由を夢見て希望を見出そうとする黒人音楽のスタンスはとても強かで素晴らしいものだと思います。

M10:”Finish Line / Drown” / Chance The Rapper(feat. T-Pain, Kirk Franklin, Eryn Allen Kane & Noname)

シカゴ発、チャンス・ザ・ラッパー(Chance The Rapper)は現在アメリカで最も評価されているヒップ・ホップ・アーティストの1人。この曲は1トラックの中に2つのパートが存在する前後半構成で、前半はチャンスらしい洗練されたバンド・サウンド、約8秒の静寂を挟んで、後半ではボーカルにフィーチャーした豪華なゴスペル・サウンドを聴くことができる。特に後半からはM7で紹介したカーク・フランクリンが参加し、黒人教会さながらのコール&レスポンスで曲を盛り上げています。
チャンスの魅力は、彼の優しさを感じさせるポジティブなサウンドや人間味のある繊細な歌詞。今後のヒップ・ホップやブラック・カルチャーをリードしていく存在として、活躍が楽しみなアーティストです。

まとめ

ちょっと情報量多めでお送りした『今、聴きたいブラックミュージック10選』、いかがでしたか?

音楽として楽しめることはもちろん、今回の記事で触れたアーティスト、解説中のキーワードをちょっと検索してみるだけでも、ブラック・ミュージックの成り立ち、ブラック・カルチャーの立ち位置、2020年現在の黒人の抱えている人種問題について知ることができると思います。

この記事が、そういった小さな興味を持つきっかけになれば幸いです。

Ps. Black Lives Matter

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