WBSS(ワールドボクシングスーパーシリーズ)決勝 観戦記

WBSS(ワールドボクシングスーパーシリーズ)決勝 観戦記

WBSS(ワールドボクシングスーパーシリーズ)

11月7日、さいたまスーパーアリーナ。

延べ22,000の超満員の会場で、WBSS(ワールドボクシングスーパーシリーズ)の決勝のゴングが鳴りました。

その注目度の高さから、フジテレビ、NHK、WOWOW、さらには英国のスカイTVやDAZNなど、異例とも言えるテレビ中継により、全世界5億人の視聴者がその試合を目撃したんだそうです。

ロイヤルリングサイドには新旧の世界チャンピオン、
および芸能人の面々。

そして決勝で拳を交えるのが、”フィリピンの閃光”ノニト・ドネア。

ノニト・ドネア

日本中が、この試合を固唾をのんで見守りました。

WBSSの独特の演出で会場が異様な雰囲気に包まれつつ、国歌斉唱を割愛し、リングアナウンサーの観客を高揚させるマイクパフォーマンス後にゴング。

思いがけぬ瞼のカット

戦前の予想通り、1ラウンドは井上のスピードが”フィリピンの閃光”にヒットし続けます。恐らく殆どのボクシングファンも「今回も早いラウンドで決着が付くだろう」と誰もが思ったはず。

しかし、井上に思わぬアクシデントが発生するとは誰が想像したでしょうか。

2ラウンドの終盤、最も警戒していたドネアのカウンター気味の左フックが井上の右目瞼を切り裂くことになるとは‥。

この影響により井上曰く「3ラウンド目からドネアが二人に見えた」と言うくらい深刻なダメージを負ってしまいました。

これにより、最大の武器である右ストレート、およびボディーフックが打てなくなったと試合後語るくらいの局面に立たされます。

これもドネアが今回のトーナメントで持ってる運なのか‥。

1回戦では、ライアン・バーネットの腰の違和感によるTKO、そして準決勝ではリザーブの格下の選手に勝利。

そして、井上戦ではカットによるTKO勝ち‥。

そんな悪夢が頭をよぎりましたね、今回は。

トレーナーで父の真吾氏も「カットの状態によってはドクターストップも覚悟していた」とのこと。

相手は百戦錬磨のドネアですから、クレバーに井上の傷口に標準を併せて、願わくばストップを試みていたはずです。

KO勝ちから判定勝ちを狙うためのゲームプラン変更

しかしそれでも慌てず、ゲームプランを切り替えるのが井上の凄さ。

瞼のカット後はガードを高く上げて、3~6ラウンドまで的確にパンチを浴びせてポイントアウトしていきます。

そしてクレバーだなと感じたのは、ある程度のポイントを計算したうえで7回、8回のラウンドを捨てて、10回~12回で確実にポイントを採り判定勝ちを狙ったと後に井上陣営が語ってました。

それを実現できる、井上の修正能力にはセンスを感じられずにはいられません。

井上尚弥史上、試練の9ラウンド

試練の9ラウンド

しかし、9ラウンド、試練が訪れます‥。

左フックを警戒する井上の顔面に、ドネアの右ストレートがもろに被弾。

よろめく井上。

正直、こんな画はまったく想像してませんでした。

一気に攻め上がろうとするドネアが圧力を強めます。

しかし、慌てない井上はボディーワークでパンチをかわし、寸でのところでクリンチワークに徹してダメージを抜いていきます。

これには流石のひとこと。

元WBAスーパーフェザー級チャンピオンの内山高志氏が王座から陥落した試合、ダウンしてヒートアップした内山は無理に前に出てしまい、最後、相手のカウンターで沈みました。

そんな不安をよそにしっかりとディフェンスする井上のゲームプランニングは流石だと言わざるを得ません。

戦慄のボディショットがドネアの脇腹に!

すると終盤を迎えた11ラウンド。

井上はポイントを優勢にしようと攻撃の圧力を強めます。

その流れの中で飛び出した、戦慄のボディーブロー。

ドネアは苦しさのあまり、試合を放棄するかのようにリングをサークリングし膝をつきます。

正直、わたくしみーの見立てでは、ダウンのカウントは10入っていたと思いますね。

これも興行を盛り上げるための”演出”だったのかなと‥。

試合後に大橋会長も同じような趣旨のコメントをしてましたし。

そんな私見は置いておいて、12ランドも更に手数を出して圧力を強める井上がドネアをコーナーに追い詰めます。

ドネアも今年で37歳、どこにこんな力が残っていたのかと思うほど、タフだなと印象を残しつつ、試合終了のゴングが鳴ります。

スポーツマンシップに溢れる試合後の抱擁

そして自然と二人は熱い抱擁を交わしましたよね。

殴り合ったもの同士が試合が終わればノーサイドと言う、紳士的な対応にインターネット上でも賞賛の声が相次ぎました。

結果は、3-0で井上の判定勝ち。

この試合で井上の未知の領域である”打たれ強さ”だったり、競ったときのゲームプランの修正能力の高さも分かりました。

何より、ドネア相手に最高の経験値を積んだことでしょう。

歴史に残る最高の試合だったのではないでしょうか。

まとめ

わたくしみーは更に井上尚弥の拳に欲望をのせてしまいます。

今回、目をカットしたのも実力のうち。

過去にドネアに勝利したものは、そのような事態は見受けられませんでしたから。

このままルイス・ネリ、リゴンドーと戦ったら五分五分かなと‥。

この試合でPFP(パウンドフォーパウンド)ではロマチェンコ、クロフォード、カネロを超えることは正直難しいと思います。

しかし、試合後にトップランク社との正式契約が発表されました。

この経験を糧に、バンタム級4団体統一王者を目指し、WBO、およびWBCのチャンピオンを明確に勝利し、PFP1位を成し遂げて欲しい。

そんな訳で、まだまだ井上尚弥の試合で夢を見させて頂きたいと思う今日この頃です。

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